医療法人設立の制度は一般的には個人診療所の実績や資産・負債を前提に法人成りを行うものです。医療法人は都県への認可をもって設立できるとされており、その認可申請の中で、法人成り後の事業計画の作成や引き継ぐ資産や負債を書類上で示す必要があります。
固定資産の引継ぎ
資産の引き継ぎにおいて、大部分となってくるの固定資産の引き継ぎです。これは、申請行政庁の定める基準日時点での固定資産の償却予定後の簿価額を算出し、引き継ぐものとなります。例えば、3/31と基準日が定められた場合、直近年度の固定資産台帳から3/31時点までの償却後の簿価を計算し、書類で示す格好となります。この書類は仮申請後に税理士等の証明が必要なため、顧問税理士の協力が前提となります。
負債の引き継ぎ
医療法人成りでは個人で借り入れた融資契約や、医療機器などに係るリース・割賦契約を引き継ぐことが可能です。注意点として融資契約は運転資金に係る融資金分については医療法上の制限で引き継ぐことができず、設備資金に対しての融資資金分のみを引き継いでいくこととなります。この設備資金に対しての融資であることの証明方法として、一般的な融資契約書には運転資金分と設備資金分の内訳の記載がないことが多いため、例えば東京都申請で言えば、設備に係る請求書とその領収書の写しの提出が必要となります。その領収書の金額分が設備資金として認められるというわけです。
また、余談になりますが、多くの銀行では、1つの融資契約で運転資金分と設備資金分が融資されている場合において、その中の一部である設備資金のみを医療法人に引き継ぐとなった時には、残りの運転資金分の金額については一括返済が必要になるため注意が必要です。
財産目録(開始貸借対照表)の純資産
上述した、個人の資産と負債を引き継ぐ その差額が純資産となります。現在の医療法人設立認可においては基金制度を活用することが一般的で、拠出が義務付けられる医療法人設立後の2か月分の運転資金に係る現金等とともに、これらの引継ぎ資産も基金へ拠出を行います。その拠出資産の総額と引き継ぐ負債の差額が医療法人の持つ純資産となり、医療法人設立時の財産目録(開始貸借対照表)ができあがります。(保有資産額ー保有負債額=純資産額)
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