医療法人成りの際の契約・負債の引継ぎについて【医療法人設立】

個人診療所が医療法人へ法人成りをし法人診療所へ切り替える場合、個人から医療法人への契約・負債の名義変更・引継ぎの手続きが発生します。

これは、個人診療所の運営時に契約していた賃貸借契約や、銀行等との融資契約や医療機器等に係るリース・ローン契約などを名義変更し引き継ぐ手続で、各契約先と設立認可を申請する行政との調整が必要となります。

医療法人設立にあたり

個人診療所はあくまで院長先生個人を事業者とした個人事業主であり、融資や賃貸借・リース契約などの契約行為を行う場合は院長先生個人名義で行うとなります。これが医療法人化すると、法人で契約行為を行うことができ、院長先生個人から医療法人へ契約を名義変更・引継ぎを行うことが可能です。

名義変更・引継ぎにあたり

各種契約の名義変更・引継ぎについては、すで締結済の契約書について、名義の書き換え又は引継ぎの承認に係る書類に各種契約元に承認してもらい、押印をもらうという作業が必要です。

これは認可を申請する各都道府県にもフォーマットが用意されていますし、各種契約元の作成したものでも良いとされています。また、この手続きの中での承認と書類押印をもらった後、別途医療法人成りが完了した(医療法人の履歴事項全部証明書が登記された)後に契約の名義変更・引継ぎに係る事務手続きが発生することがほとんどです。

この承認と書類押印の作業は、契約元の法人が大きければ大きいほど稟議に時間がかかる可能性が高いため注意が必要です。

契約変更・引継ぎ時の思わぬ費用の発生

この各種契約の名義変更・引継ぎについて、思わぬ費用が発生する可能性があるため注意が必要です。例えば、賃貸借契約であれば、別途保証金の発生することもあります。更に、融資契約の場合は、医療法人制度において、運転資金に係る負債の引継ぎができないため、設備資金に係る負債・融資金部分を除き、一括返済を求められることがほとんどです。

不動産会社には事前確認が必須

少し脱線しますが、医療法人成りの際、診療所の賃貸借契約に関して不動産会社の事前確認は必須と言えます。

前述した保証金が発生する可能性があることに加え、多くの場合、個人診療所の住所を本店登記としますが、医療法人での登記を許さないとするケースがあったり、医療法人設立認可申請では賃貸借契約が転貸借だった場合にはマスターリース契約書の提出が必要なのですが、そのマスターリース契約書を借りてこれないケースが多くあるためです。

医療法人設立なら行政書士へご相談を

前述した通り、医療法人設立の手続きは一部を切り取っただけでも一苦労、その中にも多くの注意・調整事項が入るため、専門でない方が進めるのは現実的ではありません。

行政書士法人Deeは、契約の名義変更・引継ぎに係る連絡・調整・手続もお忙しい先生方の代わりにすべて代行させていただきます。ご安心しておまかせいただけるよう、全力を尽くします。ぜひご相談をお待ちしています。

この記事を書いた人

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道原 信治(行政書士)

山口県宇部市出身、1986年生まれ。
公務員として勤務を経たのち、クリニック・病院特化のコンサルティング会社に参画。
その後、医療法人設立・分院開設など医療法人手続きを専門とする行政書士法人を設立、代表に就任。
現在では周辺分野である薬局開設・医薬品・医療機器などの許認可業務や、弁護士・会計士との提携のもとクリニックの事業承継・M&Aなどの分野にも活動の幅を広げている。