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医療法人の設立目的と基本業務
医療法人は、病院・診療所・介護老人保健施設の開設・運営を目的として設立される法人です。
そのため、これらの本来業務を行わない医療法人は存在できません。つまり、医療法人の根幹は「医療機関の運営」であり、それを前提としない活動は認められません。
ただし、地域医療や利用者の利便性向上の観点から、本来業務に付随して一定範囲の活動を行うことが認められており、これを「附帯業務」と呼びます。
本来業務と附帯業務の違い
本来業務
医療法で定められている「医療法人が必ず行わなければならない業務」です。
- 病院・診療所・介護老人保健施設の開設・運営
附帯業務
本来業務に付随し、患者・地域にとって利便性を高める活動です。
- ただし、附帯業務だけを行うことはできない
- 本来業務を補完する位置づけであることが重要
医療法人が行える附帯業務の例
実際に附帯業務の範囲は幅広く、次のような展開が可能です。
診療科目ごとの附帯業務
- 整形外科:リハビリを兼ねたデイサービスの運営
- 歯科:歯科技工所・歯学研究所の設置
- 産科:助産所の運営
- 病院:メディカルフィットネス施設、看護師養成所、衛生検査施設、無医地区診療所の運営
- 介護施設:居宅介護支援事業所、訪問介護、通所介護、小規模多機能型施設、介護人材養成施設の設置
送迎や施設利用者向けサービス
- 入院患者・利用者・職員用の駐車場や売店の設置
- 病院や施設に付随した無料送迎サービス
- 有償送迎(旅客運送事業)も可能ですが、運輸局への免許申請が必要であり、車両数や人員要件のクリアが求められます。
法令で認められるその他の附帯業務(医療法第42条)
- 医療関係者の養成(看護師、理学療法士、柔道整復師など)
- 医学・歯学研究所の設置
- 巡回診療所や無医地区診療所の運営
- 疾病予防施設(メディカルフィットネス、温泉利用施設など)
- 保健衛生業務(薬局、病児・病後児保育など)
- 社会福祉事業(乳児院、児童養護施設、障害児入所施設など)
- 有料老人ホームの設置
このように、医療法人の業務は「医療に直結するもの」から「地域包括ケアに関連するもの」まで多岐にわたっています。
附帯業務を始めるには? ~定款変更と認可の流れ~
医療法人が附帯業務を開始する場合、定款変更の認可を都道府県知事から受ける必要があります。必要書類の例としては、附帯業務施設の図面や事業計画書・収支予算書、施設の概要・必要性・本来業務との関連性を示す説明書などが挙げられ、用意・作成には専門的な知識が必要と言えます。
手続きの流れ
手続きの流れとしては以下の様になります。
- 定款変更案を理事会・社員総会で承認
- 都道府県へ認可申請
- 行政による審査(約2~3か月)
- 認可後、(必要であれば保健所等へ届出)事業開始
よくある相談として、「すでに施設準備を進めていたが、定款変更手続きを忘れていた」というケースがあります。この場合、開設が遅れたり行政指導を受けるリスクがあるため、必ず早めに申請手続きのスケジュールを組み込むことが重要です。
医療法人が附帯業務を行う際の注意点
医療法人が附帯業務を行う際の注意点としては次のようなことが挙げられます。
- 本来業務に支障を与えないことが前提
- 附帯業務のみでの運営は不可
- 収益事業であっても公益性・地域貢献性が求められる
- 認可手続きには時間がかかるため、早めの準備が必須
行政書士によるサポートの重要性
医療法人は、病院・診療所・介護施設の運営に加え、附帯業務を通じて地域に根ざした多様なサービスを展開することが可能です。
しかし医療法人の附帯業務は、医療法・社会福祉法・介護保険法など複数の法律にまたがるため、制度の理解と手続きは複雑です。医療法人の附帯業務は、医療法・社会福祉法・介護保険法など複数の法律にまたがるため、制度の理解と手続きは複雑です。加えて附帯業務の実施には定款変更認可と適正な手続きが不可欠であり、準備不足は事業開始の遅れや認可不認可のリスクを招きます。
行政書士法人Deeにご相談いただけたなら 最大限リスクを減らし、スムーズな認可取得・事業開始のサポートをお約束します。ぜひご気軽にお問合せください。