一般社団法人を設立して診療所を開設するには

昨今、個人診療所の法人化の選択肢として、医療法人の他に、一般社団法人ではどうかといったご相談が増えているように感じます。

個人診療所が法人化を考える場合、一般的には医療法人が望ましいと言えます。その中であえて、一般的ではない一般社団法人を選ぶ場合にはそれなりの理由があることでしょう。

多くは、承継先としての親族が医師免許をお持ちでない場合や医療法人では行えない事業を検討されている場合などで一般社団法人を検討される方がいらっしゃる印象です。

医療法人成りの場合は手続きが長期化し法人設立時期がずいぶん先になるため、スケジュールの問題から一般社団法人を選ばれる方もいらっしゃいます。一般社団法人での診療所開設は、地域の保健所次第にはなりますが、慣れている保健所だと1か月ほどで許可されることもあります。(反対に保健所によっては6か月以上かかるケースも)。

非営利性が絶対条件

非営利が求められます。といっても法人が利益を上げてはならないというわけではありません。この非営利については主に、「剰余金の配当の禁止」、「解散時の残余財産を国・地方自治体等に帰属させること」「理事の親族割合が1/3以下であること」が求められます。

実績の少ない保健所も多く注意が必要

医療法人の診療所開設は都道府県が審査元ですが、一般社団法人での診療所開設の審査元は保健所となり、保健所に対して、都道府県の認可を挟まずにいきなり許可申請を行います。(認可が不要)また、千葉県は例外として、一般社団法人での診療所開設であったとしても、県への申請が必要な特殊な手続きとなっているため注意が必要です。

都心部では一般社団法人による診療所開設の実績のある保健所は多くあり、地域によっては比較的申請が通りやすい保健所もあります。しかし、都心部以外では、実績が少なかったりそもそも実績がないとのことで嫌がられたり、場合によっては断られることもあり、当事務所でも過去には交渉・説得が必要なケースもありました。手続の流れとしては、一般社団法人の設立前に保健所に相談をして、予め定款の非営利性が徹底されているかどうかを確認・調整を行ったうえで、設立手続に進むことをお勧めします。

診療所開設は専門家である行政書士に相談を

一般社団法人での診療所開設手続きは複雑で難解です。私たちは診療所開設の手続きを専門としている行政書士事務所です。私たちにご相談いただけたなら、貴院の法人診療所開設にあたり専門家としてお役に立てるよう全力を尽くします。法人化という新たなスタートが良いものとなるよう全面的にサポートさせていただきます。

この記事を書いた人

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道原 信治(行政書士)

山口県宇部市出身、1986年生まれ。
公務員として勤務を経たのち、クリニック・病院特化のコンサルティング会社に参画。
その後、医療法人設立・分院開設など医療法人手続きを専門とする行政書士法人を設立、代表に就任。
現在では周辺分野である薬局開設・医薬品・医療機器などの許認可業務や、弁護士・会計士との提携のもとクリニックの事業承継・M&Aなどの分野にも活動の幅を広げている。