医療法人は平成18年の医療法改正前まで、出資形式で出資者は持ち分を持つことができました。この持ち分が存在する医療法人は持ち分有り社団医療法人(経過措置医療法人)と呼ばれています。
現在は持ち分のない医療法人しか設立できない
現在、新規に医療法人を設立する場合、持ち分のない医療法人でしか設立することができません。現在では医療法人設立時の財産拠出については、出資に基づく持ち分に変わり、基金を利用するのが一般的です。しかし令和4年度の厚生労働省のデータによると、社団医療法人の中で持ち分有り社団医療法人は令和4年当時でも全体の65%以上を占めています。
持ち分の権利について
持ち分とは定款に定めるところにより、出資額に応じた払い戻し又は残余財産の分配を受ける権利とされています。具体的には、社員退社時の持ち分払い戻し請求権、そして、医療法人解散時の残余財産分配の請求権です。しかし、この社員退社時の持ち分払い戻し請求権については、医療法人にはいくつかのリスクが付きまとうため、持ち分を廃止する法改正がなされました。
持ち分のリスクについて
医療法人の持ち分にはいくつかのリスクが付きまといます。持ち分は、億以上の相当額になることも多々あり、社員退社時の持ち分払い戻し請求権を行使された場合、経営財政上のリスクと言えるでしょう。また、退社時に請求権を放棄したとしてもその他の社員または医療法人に贈与税が発生します。加えて、持ち分を持つ相続発生時にも相続税のリスクが発生します。
持ち分なしの医療法人への移行
持ち分ありから持ち分なしへの医療法人へ移行することが可能となっています。定款上の持ち分(財産権)に関する規定を削除し、解散時の残余財産を国などに帰属する旨を書き入れます。状況によっては有効な手段と言えるでしょう。
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